日本の税関は1872年(明治5年)11月28日に前身である運上所から改称されて正式に発足し、まもなく150周年を迎えます。この記事では日本の貿易の健全な発展と安全な社会の実現に欠かせない税関の役割の一つ、輸入通関について、手続きの概要や申告時のコツなどをざっくりと確認していきたいと思います。
日本の輸入通関にかかわる法律、そしてその遂行はとても厳格です。
諸外国において通関業者はあくまでも輸入業者の代理人、助言者であり、輸入申告は輸入者の責任で行うといわれています。
一方日本では、申告内容の正確さについて、通関業者に対しても責任が求められています。
米国の9.11事件以降、通関業者の責務が一層重要視されています。輸入する商品に対するセキュリティ、顧客企業のコンプライアンスの遵守を理解しておくこと、反社会にかかわるかどうかの確認、輸入商品に対する適正な情報を得ておく事。これらを通じて、通関業者は社会の重要責務を担っているといえます。
輸入通関の目的は、ざっくりまとめると次の3つであると言えます。
・関税等の徴収
・輸入貿易の安全管理
・貿易統計の作成
以下、それぞれの項目をちょっとだけ詳しく解説します。
【関税等の徴収】
関税は税収の確保だけではなく、国内産業を保護するために設けられています。
関税と関税法についてはこちらのブログもご参照ください。
関税制度を学ぶ~輸入貿易と関税法第六法~ https://d2dship.com/08-12-2021/
ちなみに日本の税関によると・・・
関税は、歴史的には古代都市国家における手数料に始まり内国関税、国境関税というような変遷を経てきましたが、今日では一般に、「輸入品に課される税」として定義されています。 また関税法によって、関税を納める事が義務付けられています。
【輸入貿易の安全管理】
伝染病や有害生物、社会悪など様々な危険からの水際対策として税関当局が各種法令に基づき適切な輸入の取り締まりを行うことで、日本国内へ輸入される品目の安全性が確保されています。
【貿易統計の作成】
貿易統計を作成することで日本の貿易の実態を正確に把握でき、各国の外国貿易との比較が容易になります。これらのデータは国や公共機関の経済政策、私企業の経済活動の資料として役立てることを目的に作成、公表及び閲覧されています。
《参考:財務省https://www.mof.go.jp/faq/statistics/12ga.htm》
輸入通関に必要な書類・・・というと、品物や状況によって様々なパターンがあるため一口に解説するのは難しいのですが、『どんな場合でもこれがないと話にならない絶対必須の書類』をざっくり挙げると次の3種です。
輸入申告をスムーズに行うため、輸入者の協力を得て備えた方がよいもの2つをご紹介いたします。
2020年時点、この符号を用いて輸入申告行えば、過去の輸入実績が税関で認められます。
正しく申告すれば、税関の内部システムでよい評価が蓄積され、今後輸入する際、税関検査が少なくなる可能性があるといわれています。
税関の一つ重要な役割は、輸入商品に対し適正かつ公平に課税し、その税をしっかり徴収することです。
そのため、リアルタイム口座を保持することは、税関や代行する通関業者にとって信用のある企業との見方もあります。
リアルタイム口座導入の経緯については税関ウェブサイトのリンクから、リアルタイム口座開設のお手続きについてはNACCS掲示板のリンクからご確認いただけます。下記をご参照ください。
税関ウェブサイト【リアルタイム口座振替方式(ダイレクト方式)の導入】
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/mpn/mpn_direct.htm
NACCS掲示板【リアルタイム口座振替方式(ダイレクト方式)等申込み】
https://bbs.naccscenter.com/naccs/dfw/web/tetsuduki/realtime/index.htm
申告時、下記のポイントに注意した方がよいでしょう。
その中でも、輸入価格を実際の取引額と違うアンダーバリューにする事は、違法行為であり、税関から厳しく対処されます。
材質の違いによって、関税率が変わり、正しく申告できていない場合、税関では申告内容の非違とします。
税関検査で発見された場合、次回の輸入時には、更に厳しいチェックを受け、輸入時の検査率が上がり、毎回検査の対象となる事もございます。
結果的に、輸入者に取ってコストと時間を負担が大きくなります。
税関には事後調査という制度がありますので、
輸入の後、貿易・通関に関連する帳簿書類をしっかり保管してください。
簡単に言うと、正しく輸入申告を行っているか、事後にチェックを受ける制度です。
輸入者は会社の運営経理帳簿、その輸入時の各種書類を法律に従い、保管しなければなりません。
「海上速達便」は輸入書類をクラウドにて保管しています。
契約書やお客様の帳簿以外の書類は当社ウェブでご提供できます。
商品によって、さまざまな法律が関連し、その制度を遵守しなければなりません。
このような関税法以外の関連法を通関用語で『他法令』と呼びます。
食品関連や幼児用玩具への安全管理をする『食品衛生法』に関わる「輸入食品等試験成績証明書」の取得や、
化粧品、アメニティ、一部健康器具を輸入する際の『薬機法』は実際の現場でもよく目にします。
他法令についてはこちらのブログもぜひご参照ください。
海上輸入と“他法令” https://d2dship.com/09-08-2021/
参照先:
厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144562.html
e-Gov法令検索https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000145
輸入申告は時には、煩雑な手続きの内容、商品や制度に対する知識、業務の経験を必要としています。
疑問がございましたら、ぜひ当社へ問い合わせしてください。
当社代表が神戸税関よりAEO授与
当社グループ会社の中外海運倉庫株式会社がAEOを取得しました