- 日付: 06/28/2021
- 貿易
- D2D, 海上コンテナ, 用語
- 著者:山田俊哉
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海上コンテナを運ぶ船について知ろう
■船の歴史は6000年
海は、地球の表面の70%を占める。
人が島から島へ、大陸から洋上を別の大陸へ移動を始めた時から今日に至るまで、貨物輸送の主要な手段は船だ。紀元前4000年には、原始的な帆船が造船され運航していた。紀元前3000年ごろには、地中海をエジプト人が洋上を運航していた。移動手段としての船の歴史は6000年。駱駝(らくだ)のキャラバン、馬車、汽車、自動車、飛行機などの移動手段が人類の歴史と共に発明、製造されてきたが、世界で最も利用されている貨物輸送の手段は貨物船やコンテナ船などの船だ。
17世紀~19世紀初期、江戸時代の約250年間、日本は鎖国政策によって外国との往来が制限されていたため、西洋の外洋航海術が入ってこなかった。その結果、大型船の造船技術や外洋航海術の発展が、他国に比べ遅れた。明治時代以降は近代化が進み、日本の海運業と造船業は急成長した。島国の日本において、輸出入量の99%はコンテナ船などの船にて運ばれている。
■船の単位
船の単位は隻、艘、艇、杯、本、枚、床、荷など
隻: 大型船、コンテナ船、貨物船、自動車運搬船、RoRo船、フェリーなど
艇: 中型~小型の船、ヨット、ボート、はしけなど
杯: 漁船など
本: 丸木舟など
枚: いかだなど
■船名と船籍
船名は、船主と船尾に記載されている。日本では日本語とアルファベットが一般的。外洋を運航しているコンテナ船は、アルファベットの記載が一般的。日本の貨物船や漁船にXXXX丸の「丸」を使用する船名が多いのは、明治時代の法律の名残。
船はどこかの国に船籍を持っている。船籍港は船尾に記載されている。
日本のコンテナ船や貨物船はパナマ船籍が多い。パナマ(Panama)、リベリア(Liberia)、マーシャル諸島(Marshall Island)などのタックス・ヘイブン(Tax Haven)の国々は、船会社が負担する税金が軽減されるため、世界的にみてもこれらパナマ、リベリア、マーシャル諸島に船籍を便宜上おいている船会社が多い。このことを便宜地籍船(べんぎちせきせん)と呼ぶ。船腹量で見ると世界の40%は、パナマ、リベリア、マーシャル諸島の船籍を置いている。
タックス・ヘイブンとは、課税が完全にめんじょされたり、軽減されたりしている国や地域のことで、租税回避地や低課税地域とも呼ぶ。イギリス領ケイマン諸島(Cayman Island)、バージン諸島(Virgin Island)、ヨーロッパではルクセンブルク(Luxembourg)やモナコ公国(Monaco)などが有名だ。
■船の速度
1ノットとは、1時間に1海里進むことを1ノットと呼ぶ。
地球の円周は約4万キロメートル。海里とは1852メートルのこと。ノーティカルマイル(Nautical mile)とも言い、地球上の経度1分(1度の60分の一に相当)の長さで、航海や航空の距離を表すのに使われる。現在は国際海里として広く使用されている。
大型の貨物船やコンテナ船は、経済性の理由から約15~20ノットで運航している。
■いかり(Anchor)
船を港に停泊させるため、また風や波によって流されないように、錘(おもり)を水中に投げる。その錘をいかりと呼び、漢字では錨または碇と表す。昔は石を錘として碇を使用していたが、いまは金属が主流のために錨と書く方が相応しいだろう。英語ではアンカー(Anchor)と呼ぶ。綱引きや陸上競技や競泳のアンカーは、この船の錨のアンカーに由来する。アンカー(Anchor)の語源はAnkやAngで、角度があるものや曲がったものを意味する。
■コンテナ船
現在、海上輸送の主役はコンテナ船が担っている。コンテナ船とは、一定の規格でつくられた輸送用のコンテナを積載する貨物船のこと。
日中間は主に1,000TEU(20フィートコンテナ1,000本分)積載できるサイズのコンテナ船が運航している。アジア欧州間やアジア北米西海岸間は、20,000TEU積載できる超大型のコンテナ船が運航している。
コンテナ船は、貨物を効率よく積むために、大きな貨物倉をもつ。多くのコンテナを積むためには、重さを支えるためと水圧に耐えるため、強固な船体が必要だ。
コンテナ船の船倉内にはセルガイドと呼ばれる垂直の枠が設けられていて、コンテナは枠に沿って積み上げられていく。上甲板上のコンテナは、ラッシングブリッジで固縛する。これらの主な目的は、コンテナの荷崩れの防止。
接岸した港のコンテナターミナルにコンテナを荷下ろしするときや、コンテナターミナルからコンテナをコンテナ船に積み込むときは、ガントリークレーンなどの専用の設備によって荷役が進められている。最新の港湾設備を整えた世界のコンテナターミナルには、ほぼ自動化されてきているため、人の手を介さずにコンテナの荷役が進む。
船の本体にクレーンを備え付けているタイプもあり、ジブクレーンと呼ぶ。
船は、一般的にスクリュー「プロペラ」を推進器として進む。エンジンでスケジュールを回す。そして、船には自動車のようなブレーキがない。止める時は、スクリューを逆に回転させて減速する事で止める。
■コンテナ船社のアライアンス
コンテナ船社は、世界各国で航路を維持するには莫大なコスト負担を必要とする。各船社は、市場が求める、グローバルなネットワーク、高頻度の運航、多様性に富んだサービスを築くために、世界規模でアライアンスを提携している。一つの航路をアライアンス内にて共同配船を行っている。アライアンスの船社間においてスペースを分け合う、スロットチャーターも行い、輸送効率を高め、経営の効率化を進めている。
同じ交通・輸送手段の中では、航空会社のアライアンスの方が先に再編が進んだといわれてきた。2010年以降、海運業界においても同様に勝ち残るための再編が急速に行われている。
国土交通省の資料によると、世界のコンテナ船の船腹(スペース)は、3つの大きな船会社のアライアンスによって80%のシェアを占めている。
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