我々が海上輸送でお取り扱いする貨物の大半は、海上輸送用の規格(ISO規格※注)コンテナに詰めて輸送されています。
※注:ISO規格とは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)によって制定されている国際規格のことです。ISO規格に準じたコンテナのことをISOコンテナ(ISO Container)とも呼び、国際物流に適しています。
今回は、コンテナの中身やコンテナそのものではなく、コンテナを運ぶ船についてご紹介したいと思います。
一般的な20フィートおよび40フィート(ハイキューブ含む)サイズのコンテナ各種を輸送する船には、貨物の積み下ろしの形態別に大きく分けて2種類が存在します。
それが、“LOLO船(ロ・ロ船)”と“RORO船(ローロー船)”です。
カタカナで発音するとほとんど違いの判らない呼称ですが、なにがどのように異なるのでしょうか。
『海の上で、貨物を載せて進む貨物船』をイメージするとき、もっともよく思い浮かぶビジュアルといえば、デッキの上にいくつものコンテナを高く積み上げたコンテナ船の姿ではないでしょうか。
1950年代にはいって、個々の貨物を直に船に載せるのではなく、一旦規格サイズのコンテナに詰めてから船に積載して運ぶという概念が誕生して以来、
国際物流の需要の増加に併せて進化してきたコンテナ船ですが、船が大型化し貨物量が増えると、その荷役(=貨物の積み下ろし)方法も人力から機械を使う方法に変化しました。重いコンテナを効率よく積み下ろしするために使われる機械としてクレーンが使われるようになり、このクレーンを使用した垂直方向の貨物積み下ろしの動きからLift On / Lift Off Ship=LOLO船と呼ばれています。現在では世界各国の主要コンテナ港に巨大なガントリークレーンが複数台設置され、IT技術が導入されるなど港湾作業の更なる効率化も図られています。コンテナ取扱量が世界最大の上海港では、月間約3300便ものコンテナ船が世界中の航路から往来しているとか。
クレーンを使った荷役が必要なLOLO船に対して、船の一部を岸壁に倒す、もしくは船の末尾などにランプウェイと呼ばれる渡し通路を設置するなどして、フォークリフトやトレーラーを船内に直接乗り入れさせコンテナを積み下ろし(Roll On / Roll Off)できるタイプの船をRORO船と呼びます。
ガントリークレーンなどの設備を必要とせず、船の規模によってはコンテナを積んだトレーラーごと運べるので、着いた先の港から目的地までコンテナを降ろすことなく、ドア・ツー・ドアで届けることができるのが特徴です。
車ごと乗りこめる船、といえばカーフェリーが思い浮かぶ方もいるのではないでしょうか。ずばりそのとおり、カーフェリーもRORO船の一種です。
そして、我々が提供している海上速達便のサービスで利用している高速フェリーもRORO船です。
例えば、上海と神戸・大阪間で定期運航している高速フェリー(新鑑真・蘇州号)では、旅客用のデッキの下、船体内部にコンテナを積み込む仕様になっており、コンテナの積み下ろしはフォークリフトを使っています。
定期便ならではの安定したスケジュールと、小回りの利くフォークリフトでの素早い荷役は海上速達便のキャッチコピーである『航空便より安い・船便より速い』の実現に一役買っています。