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【ビギナー向け貿易用語解説シリーズ】デマレージ(demurrage)とディテンション(detention)

新型コロナウイルス感染症流行に端を発するコンテナ不足の問題。世界中の多くの航路において、いまだに解決したとは言えない状況が続いています。

コロナ禍での混乱以前にも、貨物量の増加や、天候不順、事故などの要因でコンテナが不足する局面はありました。その度に、コンテナそのものの増産をしたり、船の運航スケジュールを調整したり、様々な機関でそれぞれ対策がとられています。

コンテナを管理する各国のコンテナヤード(Container Yard=CY )でも様々な対策が講じられてきました。

そんなコンテナヤードが導入している制度のなかには、現状のコンテナ不足解消につながる可能性のあるものがいくつかあります。

本項ではその中でも、輸入ビジネスにも大きくかかわる
デマレージ(demurrage)ディテンション(detention)
について解説いたします。

 

★今回のポイント★

デマレージ(demurrage)=コンテナの「超過保管料」

ディテンション(detention)=コンテナの「返却延滞料」

・いずれも、コンテナ1本ごとにカウントされる加算料金である

・料金や期間の設定は船会社や航路によって異なる

・混載便の場合、直接的に関係するケースはほとんどない

 

《まずはコンテナターミナルについておさらい》

コンテナヤードは通常、船会社または船会社指定の港湾運送事業者が所有・管理しています。コンテナヤードがどこにあって、どんな役割のある場所なのかについてはこちらの記事(【知っていると安心・納得!】『CY搬入』とは?https://d2dship.com/03-12-2022/)にて詳しく解説しておりますのでご参照ください。

今回は、特定のコンテナヤードの制度について取り上げるのではなく、広く一般的な制度についての解説です。

 

【CYは無料保管場所じゃないの?デマレージ(demurrage)とは?】

 

デマレージ(demurrage)とは、船会社がコンテナの早期引取りを促すため、輸入者に対して課す「超過保管料」のことです。

前述のとおり、陸揚げされた輸入コンテナはまずコンテナヤード(CY)に搬入され、貨物の輸入許可が出るまで一時保管されます。通常、よほどのこと(通関書類の不備や各種検査の対象になり手続きが長引いているなど)がなければ、搬入された当日中にコンテナが引き取られます。ただ、やむを得ない事情で当日中の引き取りが実現しないケースも珍しくないため、コンテナヤードによっては数日間の無料保管期間(フリータイム/Free Time)が設けられている場合もあります。

このフリータイムを過ぎてもなおコンテナヤードから引取りされず、置かれた状態になっている場合には、超過日数分のデマレージ(demurrage)がコンテナヤードから輸入者に請求されます。(多くの場合は直接請求ではなく、貨物の手配を行っているフォワーダー経由での請求です)

フリータイムの期間やデマレージの料金設定は船会社や航路によって異なります。

早期引き取りを促進するという名目上、超過日数が長くなるにつれ、一日当たりの料金が累進的に高くなるよう設定されているのが一般的です。また、通常デマレージの計算には土曜日、日曜日、祝祭日を計算に入れます。

リーファーコンテナ(温度管理機能付きコンテナ)やフラットラック(側面、天井が無いタイプのコンテナ)、オープントップコンテナ(天井がないタイプのコンテナ)など特殊コンテナと呼ばれる部類のものは、ドライコンテナよりも割高の料率に設定されているケースが大半です。

ちなみにデマレージは、保税地域(※)であるコンテナターミナルにコンテナが置かれた状態でかかる費用なので非課税です。(この費用に対して消費税はかかりません)

輸入者が受け取る請求書には Demurrage、 Demurrage Charge、DEMなどと表記されることが多いです。

※保税地域:港湾や空港などの近くに設けられ、貨物船や飛行機から下ろされた貨物が関税納入・輸入許可・通関完了まで(または輸出される貨物の税関手続きが終了するまで)の間、蔵置される場所のこと。日本の保税地域は財務大臣が指定したり税関長が許可したりして設置されます。

《参考: ONEジャパンのデマレージ料金とフリータイムの設定(2022年1月現在)》

 

一例として、 ONEジャパンのデマレージ料金の設定をご紹介いたします。

ONEジャパンではサービス全航路、全ターミナルで料金は同一とのことです。(あくまでも2022年1月現在の情報です。変動する可能性があることをご承知ください。)

これらの費用を高額と感じるか、安価だと感じるかは状況に応じてそれぞれかとは思いますが、期間内になるべく早く引取ができるに越したことはないですよね。

 

【名称は似ているけれど全然違う! ディテンション(detention)とは】

 

ディテンション(detention)とは、簡単に言えばコンテナの「返却延滞料」のことです。

コンテナヤードでの保管に無料保管期間(フリータイム)があるように、荷物を空にしたあとのコンテナにも返却猶予期間=無料貸出期間としてフリータイムが設定されています。

貨物を取り出して空っぽになったコンテナは、コンテナ保管場(Van Pool)に返却しなければなりません。(あまり一般的ではありませんが、自前のコンテナの場合はその限りではありません。)

コンテナヤード(CY)から納入先にコンテナを運搬した後、フリータイム(Free Time)を過ぎてもなお、コンテナが返却されない場合に課されるペナルティのようなものだとお考えください。

名称やスペルがなんとなく似ているので、貿易初心者のかたはデマレージと混同してしまうケースもあるようですが、ここまで読んで別物であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

こちらもデマレージと同じく、フリータイム(返却猶予)の期間やディテンションの料金設定は船会社や航路によって異なります。

デマレージと大きく異なるのは、ディテンションは国内にコンテナが置かれた状態でかかる費用なので、課税対象となる点です。

輸入者が受け取る請求書には Detention、 Detention Charge、DETなどと表記されることが多いです。

《参考: ONEジャパンのディテンション料金とフリータイムの設定(2022年1月現在)》

こちらも一例として ONEジャパンの設定をご紹介いたします。

デマレージと同じく、サービス全航路、全ターミナルで料金は同一とのことです。(あくまでも2022年1月現在の情報です。変動する可能性があることをご承知ください。)

いくら中身が空とはいえ、コンテナは倉庫に置いておくには嵩張るものでもあります。貨物入りのコンテナを運んできたドレージにそのまま待機してもらい、中身の運び出しが済み次第、当日中にバンプールに返却されるというのがよくあるケースです。ただ、どうしても人員やスケジュールの調整が付かず当日中に返却できない場合もあり得ますので、その際にはフリータイム内にやりくりできるようにしたいですね。

 

【ディテンションとデマレージの導入は本当にコンテナ不足解消につながるの?】

輸入貨物の入ったコンテナを引き取り、中身を出したら速やかにしかるべき場所に返却する、というサイクルが世界各国でスムーズに行われることで、理論上は実入り(中身が入った状態)・空のコンテナともにバランスよく循環することになると考えられています。

新型コロナウイルス感染症が流行して以降、コンテナを引き取る際のドレージ(トラック)のドライバーが不足したり、ロックダウンなどの影響でコンテナヤードでの作業が滞ったり、本来の貨物引き取り先である輸入者が倒産して貨物の行き場がなくなったり・・・と、やむを得ない事情が積み重なることで、問題は複雑化し、単に超過料金の徴収を導入したり料金値上げをするだけでは解消できていないのが現状のようです。

ただし、北米のロサンゼルス港などでは、通常のデマレージ料金に追加の料金を設定したところ、コンテナの引き取り率が向上したとの報道もあり、ある程度の効果はみられているようです。

 

【デマレージ、ディテンションは混載便にも関係あるの?】

ここまで解説してきたデマレージとディテンションは、それぞれコンテナ1本ごとにカウントされる超過料金であるため、一般的な混載便を利用した場合、輸入者に請求されることは殆どないと言えるかと思います。

ただし、一般的な混載便の場合、CFS(コンテナ・フレイト・ステイション)でコンテナから貨物を取り出す作業にかかる費用やその他サーチャージが細々と請求されることになり、輸入に不慣れな方には特に、何にいくら費用が掛かったのか全容が把握し辛いケースも多いです。

そんな方にもおすすめなのが、海上速達便サービスです。

海上速達便の場合ですと、費用はすべてコミコミの従量課金制です。

輸入する時期ごとに変動するサーチャージや手数料などで見積額が大幅に変わるということがありませんので、安定したビジネスを行いたい方に最適です。

詳しい料金体系やサービス内容にご興味をお持ちの方は、ぜひこちら(https://d2dship.com/downloading/)から資料ダウンロードを!

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