日中間の定期コンテナ航路に参入している船会社の数はどれくらいあるのでしょうか。
主要港の東京、横浜、大阪、神戸、清水、名古屋、博多、門司などに加えて、川崎、四日市、堺泉北などの港や、北海道、日本海側の地方港まで入れると数え切れません。
また、中国の主な寄港地としては、上海、寧波、大連、新港、青島、石島、煙台、広州、深圳、香港、厦門、蛇口などの他に、重慶、武漢、南京などの長江流域の港もあり、たくさんの船会社が寄港しています。
数が多いということは、競争も激しく、過去に撤退した船会社も多く、各船会社のセールスマンは、必死の思いで集荷しています。
中国が世界の物流の中心地であることは間違いありませんが、信頼できる船会社を知ることは、私たちにとっても重要なことだと言えます。ここでは、日中間の主要な船会社に焦点を当てて、どのようなサービスがあるかご紹介していきます。
日中間の定期コンテナ航路において、際立つ特徴は、中国から日本への輸入貨物の量が、とても大きいことが言えます。それに対して、日本から中国向けの輸出の量は、半分かそれ以下です。
中国からの貨物は、私たちの生活必需品から、電気製品、機械類、食品、野菜、冷凍された魚介類、家具、雑貨それ以外のあらゆる商品が輸入されています。
そのため、中国からスペースいっぱいに満船で貨物を積んで日本に到着しても、日本からの輸出の実入りのコンテナの本数は半分にもならないのです。中国サイドでは、貨物があふれて、空のコンテナが足りません。そのため残りのスペースに大量の空のコンテナを積んで戻ることになっています。
日中航路において、空コンテナの回送コストは、船会社のオペレーションコストを圧迫し船会社の採算を悪くしています。そのため、コスト改善のために、運賃の安い貨物でも競争して取り合う貨物があります。それが古紙です。
日本から、大量に動く貨物が古紙です。古紙は段ボールの原料になります。中国から輸出される製品を梱包する段ボールの需要が非常に高いので、日本からの古紙は大事な貨物にもなっています。問題は、運賃が非常に安いことです。船会社によっては、あまりに安い運賃なので、かえって採算が悪いという理由で、古紙の船積みはしないという船会社もあります。
最近は、中国サイドでの環境規制が厳しくなり、以前ほど活発に船積みされていません。2020年の末までには、古紙の輸入禁止の方向性ということになっています。
中国の生態環境部は2019年12月23日、2020年第一弾の古紙輸入ライセンスは、278万トンとしました。このライセンスは、26社32工場に対して交付されました。
ところが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、4月には再生資源の検査機関であるCCIC・JAPANが検査を中止し、船積みができなくなりました。その後いくらか改善されましたが、数量に限りが出てしまいました。
10月19日に第13回中国古紙輸入ライセンスが発行され、発行量は9万4750トンで、ライセンス量の累計は674万8740トンとなりました。2020年の古紙の輸出量は昨年の7割程度の量になる見込みです。2021年には古紙輸入が全面的に禁止される計画ですが、新聞の生産に使われる古新聞用紙は、輸入禁止から免除されることになりました。
今後の古紙の市場は、中国への輸出が禁止となれば、他の国への輸出を伸ばさなければならなくなります。しかし、中国への巨大な量に代わるマーケットを開拓するのは、難しいかもしれません。2019年の国別の割合は、中国が、52.2%、台湾9.7%、韓国7.4%、タイ4.4%、ベトナム18.6%、その他7.7%となっています。
東南アジアでの段ボールの需要は増していますが、生産拠点が少ないことに問題があります。日本の王子HDは東南アジアとインドで計21カ所の段ボール生産拠点があり、マレーシアとカンボジアで3割、ベトナムで1割のシェアがありますが、ベトナムで3工場の新設の計画があります。
中国も最大大手のナインドラゴンズもベトナム、タイで増産体制を計画しています。今後の古紙の需要は、東南アジアにシフトしていくことが予想されています。
2020年の全体的な物流の状況としては、一時的に新型コロナウイルスの感染拡大によって、1~2月にかけて日中航路の荷動きが減少し、中国からの輸入の減少によって、主要港では輸出用のコンテナの不足が問題となりました。
また、今年は春節期間が延長されたこともあり、各船会社が減便されました。しかし、中国の工場は2月以降、順次再開し、通常の状態に戻りつつあります。10月の輸入統計では、前年同月比16.5%の増加、輸出は17.1%の増加となり、回復の傾向にあります。
⑴ 日中定期航路の海上ルートでは、次の地域からの寄港地から日本向けの定期配船を行っているサービスがあります。
⑵ 上海~長江流域の港(バージによる輸送)
長江流域の港からは、殆どがバージによるサービスを使って上海で乗せ換えますが、船会社によっては、定期航路の寄港地として、長江流域の港に直接寄港しているコンテナ船もあります。
⑶ DOOR渡しのサービス(上海経由)
次の地域は、コンテナトレーラーで上海CYから搬出し、DOORでの荷渡しができます。
日中航路における日本の主要港
日本の港湾法では、京浜港(東京港・横浜港・川崎港)、阪神港(大阪港・神戸港)を国際戦略港湾として定めています。
その他、国際拠点港湾として、次の港を定めています。
その他、重要港湾として、各都道府県にある地方港湾が定められています。日中航路の中に出てくる寄港地として、小樽・敦賀・八戸港・小名浜・ひたちなか・岩国・大分港・伊万里・志布志などがあります。
主な船会社の配船形態の種類
日本と中国の間での船会社のスケジュールは、各船会社によって、違いがあります。
ここでは、分かりやすくするために日中のサービスを簡単にモデル化して説明いたしますが、これ以外にもたくさんのルートがあります。
① 上海~関東・中京など主要港~上海
② 上海~関西・九州など主要港~上海
③ 上海~中京~上海
上海直航直行サービスなど、上海と日本をつなぐ配船形態です。関東の港としては、東京・横浜です。中京は名古屋・四日市などがあります。関西の港は、大阪・神戸です。これに九州の博多・門司を加える船会社もあります。
上海と日本の専業航路に寧波を加えた配船形態です。東京・横浜・名古屋・大阪・神戸と寧波をつなぐサービスです。
① 青島・連雲港~日本主要港~青島・連雲港
② 新港・大連・煙台・威海~日本主要港~新港・大連・煙台・威海
中国華北の港としては、青島・(連雲港・)新港・大連・煙台・威海などがありますが、上記のようにループを分けて配船する方が、航海日数を短縮でき、ウィークリーサービスを作るのに効率的です。
日本の主要港としては、東京・横浜・名古屋・大阪・神戸などがあります。
日本と香港・アジア域内をつなぐ配船形態の主なルートです。
アジア域内は、ベトナム・タイ・ミャンマー・シンガポール・マレーシアへのサービスです。
日本の地方港はこれ以外にもたくさんあります。韓国船社やその他の船会社のサービスがあり、コストの低減化をはかり、地方の活性化にもつながっています。
次章は日中間の主な船会社とその特徴をご紹介いたします。