これが揃っていれば輸入通関の手続きがスムーズになる!
輸入通関の手配に絶対必要な基本の書類4つ
外国貨物を日本国内に持ち込む際に絶対に欠かせないのが税関との輸入手続きです。
輸入貨物が違法なものでないかの検査・審査をクリアし、適切な関税・消費税を納め、輸入許可が降りてはじめて、外国からの輸入貨物を日本国内の最終納品先へお届けすることができます。
この記事では輸入許可を得る為の手続きが行われるタイミングと、絶対必要とされている書類の種類や役割などを解説していきます。
外国から貨物を輸入する際、航空輸送でも海上輸送でも手段を問わず必ず発生するのが税関による輸入通関という手続きです。輸入通関を経たのちに輸入許可が得られて初めて、外国からの輸入貨物を国内で流通させることができます。
税関のウェブサイトでは次のように説明されています。
『外国から我が国に到着した貨物(外国貨物)を国内に引き取る際には、原則として貨物が保管されている保税地域(注)を管轄する税関官署へ、輸入(納税)申告を行い、税関の検査が必要とされる貨物については必要な検査を受けた後、関税、内国消費税及び地方消費税を納付する必要がある場合には、これらを納付して、輸入の許可を受けなければなりません。(この輸入の許可を受けた貨物は内国貨物となり、いつでも国内に引き取ることが可能となります。)この一連の手続が輸入通関手続です。』
参照元:輸入通関手続の概要(カスタムスアンサー)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1101_jr.htm
輸入許可を得る為の手続きが行われるタイミングは以下のとおりです。
STEP1:輸入貨物を乗せた船や飛行機が日本の港(空港)に到着する
STEP2:船や飛行機から降ろされた貨物が『保税地域』という“特別な許可のもと輸入通関手続き前の外国貨物を一時保管するエリア”に置かれる(=搬入)
STEP3:税関により保税地域から出して国内に持ち込んでも問題ない貨物なのか検査・審査され、正しく関税と消費税の納入手続きがされていることが確認されると輸入許可が降りる
STEP3のタイミングで行われるのがいわゆる輸入通関という手続きです。
それでは次のチャプターで輸入通関で行われる検査や審査の際に必要な書類を確認しましょう。
貨物の種類によっては、税関以外の省庁から許可を得なければならないものもありますが(※注1)、今回は一般的な貨物を輸入する場合に最低限必要な書類について簡単に解説いたします。
ちなみにこれら4つの書類は、すべて輸出者(SHIPPER)からメールや郵送などで入手することができます。
海上輸送を行う際に、最も重要な書類のひとつである船荷証券。
船会社が輸出者の貨物を受け取ったときに発行され、貨物を輸入国で受け取る際にはこの書類が絶対に必要です。
通常は貨物の代金と引き換えに入手することになります。
インボイスを身近なもので例えると、宅配便の送り状のような役割を持っていると言えます。
同時に、輸送する貨物の明細書でもあり、請求書でもあり、納品書でもあります。
インボイスは輸出者が貨物輸出時に作成する書類です。
インボイスには貨物の商品名、数量、契約条件、単価、仕向人、仕向地、代金支払い方法などが記載されており、それらの内容をもとに関税や消費税の計算が行われます。
裏を返せば、内容が正確なインボイスがないと関税・消費税が正しく算出できず、税関から輸入許可を得ることができません。
インボイスには用途や使用状況に応じていくつか種類がありますが、日本の輸入通関の際に必要なインボイスというと
コマーシャル インボイス(Commercial Invoice)のことを指します。
ちなみにこのほかのインボイスは以下の通りです。
・プロフォーマ インボイス(Proforma Invoice)
・シッピング インボイス(Shipping Invoice)
・カスタムズ インボイス(Customs Invoice)
・コンシュラー インボイス(Consular Invoice)
このうち、見積書として作成されることもあるプロフォーマインボイスを通関用書類として提出されるケースがありますが、日本での輸入通関に使用できるのはコマーシャルインボイスです。もし入手した書類のタイトルがProforma Invoiceとなっている場合には、輸出者と連絡を取り改めてコマーシャル インボイス(Commercial Invoice)を用意してもらうようにしましょう。
パッキングリストは梱包明細と呼ばれることもあります。
これも輸出者が貨物輸出時に作成する書類です。
主に貨物の包装形態(箱詰めなのか、ドラム缶に入っているのかなど)や、1つの包装に何が、どのぐらい梱包されているのかを明記してある書類で、輸入通関時の貨物確認はもちろん、港や倉庫での仕分けなどにも使われる重要書類の一つです。
パッキングリストは輸出時にも必須の書類のひとつなので、日本への輸入時にパッキングリストが作成されていないということはまずないでしょう。場合によっては輸送を開始する前に発注内容との齟齬がないか事前確認としてパッキングリストのチェックをすることもあるようです。
また、インボイスとパッキングリスト一体型の書類が作成されることもあります。
インボイスとパッキングリストが分かれている場合は、それぞれの書類がきちんと対応しているかチェックすることも大切です。
どんなに輸入業務に精通している税関職員さんや通関士でも、商品の名前や重量など文字情報だけではそれがどんな品物か判別がつかないものもあります。商品の形状や用途によっては関税率が変わるため、輸入通関時には写真や絵型(デザイン画)を参考にそれらを正確に判断する必要があります。
アリババなどのネット販売品を仕入した際などには、購入時のページに掲載されている写真や、現物確認時の画像などをスクリーンショットや印刷で控えておくことをおすすめいたします。
またインボイスに原材料が明記されていない場合は、補足データとしてそれらが明記されているカタログあるいは仕様書などをご用意いただく必要があります。
基本的に輸入通関の手続きを行うのは税関ですが、貨物の種類によっては他の省庁が関わってくる場合もあります。
というのも、関税法以外の法律に則って所定の検査や手続きを踏まないと輸入できない品物があるからです。
食品衛生法や薬機法、動物検疫法、植物検疫法などが代表例です。
税関以外の省庁が関わるケースについてはこちらの記事をご参照ください。
輸入通関の手配に絶対必要な基本の書類4つ、いかがでしょうか。
輸入貿易に不慣れな方にはひとつひとつの書類にどんな意味があるのか、なんのために必要なのか、どこから手に入れることができるのか・・・疑問がたくさんあるかと思います。
ですが上記で解説したこの4種類の書類が最低限揃っていれば、圧倒的に輸入通関の手配をスムーズに進めることが可能です。