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【中国輸入ビジネス入門】外航貨物海上保険

普段は何気なく過ごしていても、日常生活には意外なところに様々なリスク(危険)が潜んでいたりしますよね。そんな万が一に備える制度として『保険』を利用されている方は多いのではないでしょうか。さまざまな対象やさまざまなシチュエーションに対する保険が存在しますが、今回は海上輸送での輸入貿易貨物に使える保険について解説したいと思います。

INDEX

国際海上輸送と保険

外国から時間とお金をかけて貨物を運ぶとなると、輸送中のトラブルについては万全を期しておきたいですよね。

海上輸送の場合、輸送の途中で貨物が受けた損害を補償する損害保険には、船舶本体を対象とした船舶保険と積み荷である貨物を対象とした貨物海上保険があります。

ここでは、貨物海上保険について確認していきましょう。

外航貨物海上保険とは?

貿易の際、国と国との間で海上輸送される貨物全般に適用される保険です。
貨物の梱包形態や中身の商品の種類を問わずおおよその貨物に使用することが可能です。
『海上』と名称に入っていますが、条件によっては航空・陸上輸送中のリスクについても補償されるものがあります。

検索エンジンで『貨物海上保険』と入力した場合、上位に表示されるのはだいたいこの外航貨物海上保険についてのページです。
ちなみに、日本の領海内や沿岸で発生した被害について特化した保険には内航貨物海上保険があります。

外航貨物海上保険の種類

外航貨物海上保険によって補償されるリスクや保険金が支払われる範囲、保険期間などの基本条件は、どの保険会社の保険商品でもあらかじめ約款により取り決められています。

多くの大手保険会社の外航貨物海上保険では世界的に広く使用されている「協会貨物約款(Institute Cargo Clauses:ICC)」が採用されているようです。

ICCは1963年版、1982年版、最新の2009年版があり、おおよそは最新版のICC(2009)が採用されていますが、保険会社によっては必要に応じて旧版の約款で契約ができるケースもあるようです。

協会貨物約款には旧版・新版どちらも3つの基本条件があり、それぞれで補償対象や保険金の支払い範囲が異なります。

以下、それぞれの条件を簡単にまとめたものです。

・ICC(A) [旧版のオールリスク/All Risks, A/Rに相当]
事故に対して最も広い範囲をカバーする内容の保険。輸送中の盗難、火災・爆発や船舶の沈没や座礁といったアクシデントから、地震や落雷などの自然災害による被害、雨や雪、海水(高波)による水濡れなど、海上にあるほとんど全ての危険が補償されます。
水濡れに弱い貨物や、価格が高額な貨物(例:電化製品や機械類)に対して使用されることが多いようです。

・ICC(B) [旧版の分損担保/With Average, WAに相当]
補償範囲が狭まり、人為的なアクシデント(盗難や破損、降雨や降雪による貨物の水濡れなど)は対象外となっている保険。主に穀物や飼料の輸入の際に使用されることが多いようです。

・ICC(C) [旧版の分損不担保/Free from Particular Average, FPAに相当]
補償範囲が最も狭い保険。航海の継続が困難なレベルの船舶事故(沈没・転覆・座礁など)や航海維持のためやむを得ず行われた投荷(沈没を免れるため船体を軽くする、バランスをとるなどの理由で海に貨物を捨てること)のみを補償します。木材や鉱物など、濡れても劣化しにくい品物に対して使用されることが多いようです。

戦争やストライキなどによる被害については上記の約款の対象外であるため、「協会戦争約款(Institute War Clauses)」、「協会ストライキ約款(Institute Strikes Clauses)」など別の約款に基づいてプランにあらかじめ組み込まれているものから、特約をつけることで補償が受けられるなど、保険会社や保険商品によって異なるようです。

一部の国や地域については輸送当時の情勢よって補償が受けられない、もしくは都度補償内容に変更がある場合もあるようですので、随時注意が必要です。

詳細はご利用前に保険会社のウェブサイトやパンフレット等でご確認いただくことを推奨いたします。

保険をかける際には各社の商品紹介や約款を参照し、貨物の種類や航路、所要日数によって必要な補償がカバーされている最適なものを選びたいですね。

外航貨物海上保険と貿易取引条件(インコタームズ)

貿易売買においては、「貨物の引渡し場所はどこか」「売主と買主のどちらがどこまでを手配するか」などの諸条件をあらかじめ売買当事者間で取り決めておくため、貿易取引条件に関する標準ルールが定められているのは以前他のブログでも紹介したかと思います。現在では、貿易取引条件に関するルールとして最も広く使用されている国際商業会議所のインコタームズ(INCOTERMS)を利用することが多いと思いますが、外航貨物海上保険を手配する場合についても、タームごとのリスク負担範囲によって売主、買主のどちらが手配すべきかが決まっています。

中国輸入(海上輸送)でよく使われる以下3つのタームを例にするとこのような感じです。

FOB(Free On Board):買主(輸入者)が保険手配
CFR(Cost and Freight):買主(輸入者)が保険手配
CIF(Cost, Insurance and Freight):売主(輸出者)が保険手配

海上速達便では貨物海上保険は必要?

さて、それでは海上速達便では貨物海上保険は必要なのでしょうか?
結論から申し上げますと、我々としてはお客様に保険を付保しておくことを推奨しております。
海上速達便は様々な料金がオールインワンになっている点が利便性の一つとして大変ご好評いただいておりますが、貨物海上保険の付保についてはあくまで任意であるため、パッケージ料金には含まれておりません。
中国からの輸入の場合、東南アジアや欧米諸国からの輸入などと比べると航路が短めであるとはいえ、海を渡ってくることに違いはありませんので、輸送により万全を期すためには貨物海上保険のご利用をお勧めしている次第でございます。 

どこの保険会社を利用されるかはお客様にご選択いただけますので、ご検討の際は『貨物海上保険』または『外航貨物海上保険』と検索して最適なプランを探してみてくださいね。

貨物海上保険の歴史

「備えあれば憂いなし/ Providing is preventing」という言葉は紀元前14世紀頃の中国の書物にある記述が元になっているそうですが、いつの時代、どんな場所でも、リスク(危険)に対してなんらかの備えをしておきたいというのが人間の心理です。

そんなリスク対策のひとつとして生まれたのが保険制度です。

実は貨物海上保険の歴史は、ほぼ保険という制度そのものの歴史でもあります。

保険(損害保険)のルーツは、商人が荷物を紛失したり強盗されたりした際に国家や共同体によって補償されたのがはじまりといわれていますが、最も古い損害保険の制度は古代中国や古代バビロニア、古代ギリシャ・ローマなどの国々で行われていた海上貿易での荷物に対するものだったそうです。

ちなみに、日本の損害保険のはじまりも16世紀~17世紀頃の朱印船貿易で運用されていた「投金・抛銀(なげがね)」という積荷を担保とした貿易資金の貸付・投資制度だと言われています。

まとめ

さまざまなリスクに備える保険制度のなかには、国際海上輸送に適したもの、外航貨物海上保険が存在します。

外航貨物海上保険は、提供する保険会社や保険商品によって補償対象や補償されるリスク範囲、保険料などが異なりますので、保険をかける際には事前にリサーチをしておくことが重要です。適用している貿易条件(インコタームズ)によっては輸入者と輸出者のどちらが保険手配をするべきか、というのも決められているのでご注意ください。

海上速達便では、大切な貨物を輸送する際のリスク回避のために適切な保険のご利用をオススメしております。